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5歳なら5ドル‼ 可愛いぬいぐるみ誕生日 ~米 BUILD-A-BEARに学ぶ6ヒント

『Count your candles ! Pay your age !』
バースデーケーキに煌めくキャンドルの数を数えてみよう!

アメリカ、BUILD-A-BEAR Workshop社がとても夢のあるキャンペーンを展開しました。
誕生日のお祝いにと、その子の年齢分のドルで、手作り系のくまのぬいぐるみが買えますよ、という企画が始まり、全米ではとても賑わっています。子どもが5歳なら5ドル、3歳なら3ドルという、お財布にとても優しい企画は、親にとっても大変嬉しいものでしょう。残念ながらこのお店は日本にはないので、話題は海の向こうとなりますが、ここにはビジネスへのヒントなど、いろんな活動への良い学びがありそうです。

🔷 夢のあふれる、嬉しく楽しい企画とは?
🔷 BUILD-A-BEAR Workshop社って?
🔷 “Count your candles ! Pay your age ! キャンペーン” にみる『学びヒント』

夢あふれる、嬉しく楽しい企画とは?

『Count your candles ! Pay your age !~バースデーケーキに煌めくキャンドルの数を数えてみよう!』というキャンペーン、7月12日に全米のBuild-A-Bear Workshop各店で開始されました。通常14ドルのぬいぐるみ(約1,568円/7月12日現在為替レート、以下同様)が、その子の年齢×ドル、つまり、子どもが5歳なら5ドル(約560円)、3歳なら3ドル(336円)、なんと0歳~1歳はたったの1ドル(112円)で買えますよ、というもの。そして、可愛い帽子をかぶってお誕生日の主役となり、パパやママと一緒にお店の中で記念撮影やお店のスタッフからも祝福を受け、ちょっとした楽しい誕生日パーティーになるのです。しかも、面白いことに、年齢を証明するものは不要ですよ、と細かく野暮なことはなく、同店のウェブサイトで簡単な会員登録をすればいいだけ。定価が14ドルなので、実質13歳、つまりエレメンタリースクール生(小学生)レベルが対象ですが、この他にも様々な企画が溢れているようです。値段に関わるサービスは、御誕生日を祝ってあげる親御さんにとっても「嬉しいプレゼント」で、キャンドル1本につき1ドル、という設定フレーズが可愛らしく、とても粋なキャンペーンと言えます。この日はどのお店も開店前からお客さんであふれ、てんやわんやの様子と、様々に報道されていました。

BUILD-A-BEAR Workshop社って?

今から約20年前、1997年創業のBuild-A-Bear Workshop, Inc.(※1)は、米ミズーリ州セントルイス郊外(セントルイス郡)のオーバーランドという町に本拠する会社で、テディベアを始めとする動物のぬいぐるみの販売を、特に手作りを主な方針として全米にBuild-A-Bear Workshop というお店を展開し、今では年間収入が約400億円(US$358 million/2017 ※2)という大きな企業です。昔からテディーベアが好まれるアメリカ文化ではありますが、そこに手作り感を加えてFurry Friend(ふさふさの友達/ML流解訳)として、手にする子供たちが各々のぬいぐるみを「私だけの友達」と喜ばせてきました。創業者であるMaxine Clark氏、現CEOのSharon Price John氏、共に女性ですが、良き女性らしさも相まった発想がうまく企画にも経営にも反映されているのでしょうか。

“Count your candles ! Pay your age ! キャンペーン” にみる『学びヒント』

学びヒント1⃣ 誕生日プレゼントの費用が抑えられる =実質購買者の心を汲み取っている企画

誕生日を祝う文化は日本でも厚く、それに関わる購買や消費は少なくない。ただ、消費者としての視点でみれば費用(コスト)にも限界があります。特に子供への誕生日コストとなれば、プレゼントの他、友達をお呼びしての誕生日会、バースデーケーキ、特別な食事をつくってあげることなど、出費も小さくないでしょう。特に費用がかかる小学生の時代(13歳以下)に、子どもが望むプレゼントをしてあげつつ、その費用を抑えることができるということは、親御さんにとって、本当に心の的を得たような喜ばしいキャンペーンと言えるでしょう。

学びヒント2⃣ 『キャンドルの数×1$』というファンタジックなフレーズ =常に夢を一緒にアピールする姿勢

誕生日といえば、バースデーケーキ。その輝くキャンドルのイメージから、そのキャンドル本数分の$ですよ、というフレーズは、ファンタジックで可愛らしい比喩です。宣伝やアピールひとつひとつに、夢をあふれさせようという工夫が見て取れます。

学びヒント3⃣ 喜びを与える相手が子も親もである =購買者のみならず顧客関係者全体へ

当人が喜ぶ企画、はよくあるが、ここでは子どものみではなく、その親も家族も嬉しいということがポイント。つまり、顧客サービスを考えるとき、その顧客の定義を「本人のみ」にせず、「本人とその家族」あるいは友達など、みんなが喜ぶという視点、『全体顧客視点』が重要です。どんな商品でも、実質購買者にとって、家族や仲間にとっても良いこと、という時、購買決定への意欲はとても高まります。サービス提供する側の持つ、顧客という定義は、その『お客様とそのご家族』というように、ご関係皆さん迄もの視野をもっているかどうか、非常に重要な視点・視野です。

学びヒント4⃣ 年齢の証明が不要 =フレンドリーなイメージを与え、サービス提供の姿勢が純粋に伝わりやすい

手続きとなると、やれ、身分証明書を出してくださいとか、そうでないとだめです、などの会話は意欲の高まりを落としてしまうもの。その世知辛さが醸し出される感じだけでも、盛り上がりに欠け、冷めてしまいます。特にこの場合、『誕生日』という記念、祝福セレモニーの一日なのですから、何から何まで明るいお祝いなムードでありたいものです。ここで、何の証明も要りませんよ、という一言が、「え、ホント!」とより一層テンションアップの材料になります。仮に誕生月ではないにしても、そのお客様のそれ以降の来店きっかけになったり、リピーターになって下さる事の可能性などのメリットの方がはるかに大きいのです。

学びヒント5⃣ 小さい頃の嬉しい体験プレゼントは一生もの =10年、20年後の商機拡大に寄与される

自分の幼少期に得た嬉しい体験は、その後の人生の大切な思い出となります。これが、その人の人生経験として大人になっても残っていくものです。今、お店で楽しく賑やかに可愛いぬいぐるみ(私だけの友達)をプレゼントされた体験が思い出となって、例えば20年後、自分自身が母親になった時、同じように娘に喜ばせてあげたくなるでしょう。つまり、現在のキャンペーンは、将来への視点もあって、未来のお母さんに喜んでもらっているのです。このような長い目で顧客の思い出作りも大事にしていくことが、将来の市場を広げ、企業として長い歴史を歩んでいくわけです。

学びヒント6⃣ インタラクティブなサービス =参加する喜びが加わった商品

従来行ってきている手作りのぬいぐるみというサービスにも、着目したいものです。顧客が自分が選んだぬいぐるみの動物を組み立てて店舗訪問中に自分の好みに合わせたインタラクティブなプロセスを経る、といういうオリジナル性、独占所有感を得ますから、このお店らしさ=他社との区別化、参入障壁となります。

注目点は他にも・・・

この他、同社のように大都市ではなく、中小都市に本拠を置くスタイルも、今後への事業展開に大いに参考になります。日本でも、決して東京や大阪などの大都市に本拠を置く必要性はなく、中小都市の本拠スタイルの効果性やメリットを見出しても良いでしょう。
また、商業視点からの「シーズンマーケット」(季節もの)とは違い、日常時の商機としてのひとつが、「誕生日市場」です。どんな事業・商売であれ、ただただ需要がありそうな市場を探すということだけではなく、こちらから市場を作る、広げるという工夫、すなわち、通常の生活の中にある機会にちょっとした工夫を凝らすことで商機に変え、需要の要望を高め、結果として自社にとっての市場として広げていくということです。

海の向こうの出来事であっても、ひとつのニュースには、単に情報だけでなく、そこにはたくさんの考え方やヒントがありますから、決して「ぬいぐるみ屋さん」ではなくとも、事業や商売、いろいろな活動、そして自分の学びに、とっても “夢のある参考” になりますね。

※1 https://www.buildabear.com/
※2 ”Income Statement for BBW” from Morningstar.com

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