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『主将の姿勢と涙に拍手を贈りたい』

春の甲子園選抜大会、横浜高校の記録的大差での優勝。なかなかまとまらなかった、と云われていたが、そのチームをまとめようと努めてきたであろう“主将選手”の苦労が伝わってくる。

今から3年前のこと。横浜市の、ある中学生シニア野球チームのグラウンドに、その春、我が少年野球チームを卒部した新中1生になる子の様子を見に訪れた私は、バックネット裏にいた。しばらくするとそこに、一人の新中学3年生が現れ、バッティング練習を始めた。聞けば主軸選手だそうで、存在感も堂々たるもので、打ちっぷりも大したものだ。何よりも私の眼に強烈に映ったのは、打球でもフォームでもなく、彼の人としての姿勢だった。
 
彼の行い、挨拶、礼儀正しさ、配慮、ひとつひとつの態度が素晴らしい。見ず知らずの私でさえも、すれ違う時にしっかりと挨拶を頂いた。彼の一挙一動にその真直ぐな人柄がにじみ出ているのである。少なくとも私はそう感じた。周囲から聞くに、彼の親御さんも素晴らしいお人柄だとか。表面が善人的だったり、監督やコーチ、スカウティングや高校関係者には良い態度で接しても、他、とりわけ下級生やその父母、部外者には全く違う態度をとるという人も少なくない世界だ。むろん最近よく見かける、見せかけの優等生というのではない。遠めに見ていても、彼の行動や態度から素晴らしいものが伝わってくる。
私にとって、その日のその選手の姿は、今でも強く残っている。その“彼”が、3年後の今日、チームをまとめるのに苦労し涙したという“主将選手”、福田永将選手である。深く頷ける。
 
この横浜高校優勝の中に主将の貢献を見出すならば、それは彼の人柄であろうし、姿勢であったろうと思う。“人としての姿勢、在り方”がチームの力を発揮させたのだと確信する。自分本位の選手が多かったと言われるチームにいて、それをまとめる役目その努力は並大抵ではなかったであろう。野球をする高校生の中に、大切な 『教えと学び』 を見た気がする。野球少年としての模範はもちろんだが、人としての、『万事は技術からではなく、まず姿勢。心の在り方から。』の模範として、つまりは、仕事に勤しむ私たち大人が普段から当然の様に心得、備えておくべき大事な要素、見習うべきであろう。

その見事な具現と達成、山あり谷ありを越えてチームを優勝へ導いたことに、心から大きな拍手と賞賛を贈りたい。

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