『会議』の質を高めることで、導き出される成果や業務効率が驚くほど変わります。
いかにして会議の中身は勿論、その実施や設定、行う意味や創り出す価値を高めていくか、そして、成果につなげていくか?
会社によって、また、部署やその業務によって、会議の位置づけは違い、まちまちではありますが、成功する会議の実施に向けて、ひと工夫、ふた工夫、と考察と改善をしてみましょう。
良質の会議が適切に行われるということは、自分の職務に良い寄与と影響をもたらせられることになります。
また、会議を意味のあるもの価値あるものにしようと会議に臨む意気込みは、自分自身の職務能力、ビジネスの実力を高めることになり、キャリアアップにも反映させる良い機会にもなります。
前回【総合編】で記述した『簡単な6つのポイント』について、補足と解説を加えながらもう少し掘り下げてみてみます。
成果の期待できる、質の高い『会議』を行う基本的に大事なこと 1⃣・2⃣・3⃣・4⃣・5⃣・6⃣
1⃣ 会議の目的が明確である。
主旨、テーマ、論点等、目指すゴールハッキリしている。
何のためにその会議は行われるのか、その会議を行うことでどうしていきたいか、という目的性を明確にしておくということです。
例えば、結論や決定をする会議なのか、それとも、今日は決定まではしないが、次回の決定に向けた大詰めの段階を固める会議なのか。あるいは、ゆくゆくの決定期に向けて、先ずの現状分析や情報収集、意見交換の場としての会議なのか。はたまた、主に発案を趣旨としたブレーンストーミング的な創案機会なのか、など、目的や主旨は様々です。ここでの例えは主なものとして、実際は、会社や職場によってもっと細別されるでしょう。
2⃣ 会議の目的(上記①)について、座長はじめ参加する全員の理解が一致している。
『会議の目的が明確であること』に加え、その明確な目的について、関係者全員が理解しているということ、これは、単に会議のタイトルレベルの一致ではなく、その意味や方向性、細かな価値観についてもベクトルが一致しているレベルです。
また、もし会議の目的や主旨が不明瞭であったり、理解しにくい状態であれば、必ず明瞭明確にすること。
そのために必要なこと(質問、確認、相談等)は曖昧にせずきちんとし、これは、「会議までに」では遅く、早急にする。なぜなら、会議の目的・主旨が分かり、当日までにその準備等をしなければならず、しかもその準備の中味の質は充足している必要があるので、早くに準備態勢に入れるようにしておきたいものです。
◇ ここでポイント
『全員の目的理解の一致』を創り出すのは、個々各々が能動的に取り組むこと。
決して受け身や待ち受け的にならない様に気をつけましょう。会議の施行者や主催者、議長(大概の場合、上席者)からの通達に始まる会議ですが、議題等について分かりにくいことが多少あっても、「そのうち追伸されるだろう」「待っていればいいか」などと、ついつい受け身や待ち受け的になりがちなものです。各々が能動的に、会議への取組みを明確にする、理解することは極めて重要なポイントになり、この姿勢こそ、会議ひいては日常の活動や作戦実施、生産性の成否を分けます。
基本中の基本であるがゆえに、『当たり前のこと、という実践への落とし穴』がある。
『会議の目的性やゴールがハッキリしている』ということ、そして、『全員の理解が一致している』ということ、これらは、「そんなこと、当たり前やないか」と思われるかもしれないほどに基本中の基本なのですが、実際には、意外と明確になっていないケースが多く、曖昧さや漠然性が否めない事が少なくありません。
また、そんなことは社会人だったら当たり前で、言うまでの事でもないだろう、といった観念が、かえって明確化を妨げているようなこともしばしば見受けます。もっとも「ビジネス人なら当たり前」ということが、きちんと実践できていればよいですが、必ずしもそうとは限りませんし、そのちょっとした意識の隙間が『落とし穴』になります。また、「当たり前の基準」が人によって違うので、この差異によって一つの業務(例えば『会議』)が上手く成立しないという要因になったりしています。
3⃣ 会議が終わった時の全体の姿を描いておく。
目的や主旨は理解していても、人の集まる会合は理屈通りには進むとは限りません。本旨、本論からずれることもしばしばでしょう。会議が終わった姿をイメージしておくことは、会議の冒頭から、途中、途中にて、ゴールに向かう姿とのズレや違和感をいち早く捉えることができ、そこからどう修正して行けば良いかがわかります。また、即時対応しやすくなるのも大きな利点と言えます。
4⃣ 会議に参加しない仲間・部下・後輩に、その会議目的や主旨を明快に伝え、自分の参加意欲やコミットメントを事前に分かち合っておく。(部署からの出席が自分のみ、もしくは自分を含めた一部のみ、というケースで。例えば「店長会議」など。)
理由1 その会議への取組みについて、「自己がより明確化し、参加能動性が自然と向上」する。
理由2 常に「部署を代表して参加している」という姿勢でいる。
このケースの場合、往々にして部署の現状や意見、動向や意向、提案や発案など、部署単位性のある発言やプレゼンを求められることがあります。しかし、必ずしもそれが、事前に細かく指示されていないことも多いものです。意見収集側やプレゼンを受ける側は、参加している発表者の個人的なものとは考えておらず、「その部署の発言として捉えている」と考えておいた方が賢明で現実的です。
理由3 社内風評、部署職場内風評を防ぎ、肯定的感化を広げられる。
自分の取る姿勢(会議に臨む姿勢)は、想像以上に部署仲間に伝染するものです。もし、自分が嫌そうにしていたら、仲間にも「ああ、嫌な会議なんだな」と感じさせ、前向きではない印象を与えてしまう恐れが多分にあります。逆に、前向きな姿勢を示していれば、良い影響の源となりポジティブな模範となるので、部下や後輩に向けての肯定的な感化、垂範となります。
例えば会議に向けて、「面倒」「大変」「たいして意味がない」「時間が長すぎる」「無駄だと思う」など、こぼしていると周りの仲間からは「大変ですねえ…」「ホント、お疲れさま」などの “労いのような言葉” をかけてもらえるので「おいしい気持ち」にはなる傾向があるものですが、これは非生産の雰囲気を生む”愚痴”になってしまいます。これは十分に気をつけたいものです。
無意識な人も多く、こぼしている当人は、その場の何気ない愚痴こぼし(愚痴とも思っていない場合も多い)であったりしますが、その否定的な姿勢による周りへの伝染、マイナス感化は想像以上に否定性を広げてしまうことになります。少しづつ錆びついていく機械のようなもので、いつしか「本社はロクなことを考えていない」などといった社内風評になってしまう災厄のケースも。本当に気をつけたい最重要点の一つです。
5⃣ 決定事項、話題に出たこと、いいアイデアなど、会議で挙がったことは実行すること。そして、実行されているか、その経緯、結果は?について必ず言質化し明らかにすること。
これは、PDCAと呼ばれるアイデアの “C” に相当しますが、これも意外と疎かになっていたり、煩雑に埋もれてしまう傾向が否めません。因みに一般では、”C”は”Check”を意味しますが、MAEKIESでは『See』の意味を込めて用います。単に、やったかどうかの、YES/NOの白黒チェックに留まらないようにし、その経緯・経過や、どうしてそうなったか? 背景や事由は? 関係者の現状は? 等々、課題達成や問題解決に必要で大切な白か黒かだけではないグレーやカラフルな側面までをもしっかりと見る、分かる、鮮明に把握する=Seeとして臨むことを推奨しています。
6⃣ 「いついかなる場合でも、『会議』は一人一人の意識、心得、能力と努力でつくられ、質と成果の良し悪しも決まるもの。」と心がけて取り組むこと。
会議の成否は施行者や議長、座長、主宰者次第ではないということ。参加する全員の結集によるもの、と全員が思っていることが非常に大事です。その為には日頃からのコミュニケーションが肝要となります。会議の後の互いの経過連絡や事後の報告、会議で話題になった事や決定事項への補足、保留案件や持越し事項への留意など、細やかなコミュニケーションによって「その会議を行ったことは重要で意味がある」と言えるような中身にすること、皆が理解する工夫も忘れないようにしたいものです。
『会議』は会社の心臓。毎回丁寧に、きちんとした実行の積み重ねで育てていく。
会議のたびに毎回、毎回、丁寧にでもこれらの諸ポイントを留意して実行していくことで、会議への効果性のみならず、社内の取組みが全般的に、行動も姿勢も引き締まっていくようになります。さらに、このような意識が根付いていくことは、会社、組織の全体的なモラールを高めることにもなります。
『会議の質と成果を高め、会議の格を上げること』は、全体への大きなプラスをもたらすことになり、『効果的な会議の実践』は人間の身体で言えば、パワフルな血液を全身に送り続け、組織の課題への即時適切な対応やリフレッシュを生み出す、まさに『健全で力強い心臓』の様な存在となっていくのです。